実のところ、中国進出にはあまり乗り気ではありませんでした。弊社代表の河田は飛行機が嫌い、デリケートな胃腸を持つがゆえの食に対する不安、そして何よりも日本という国が大好きなことなど、さまざまな理由から中国に行くのは気が乗らなかったですが、とりあえず中国事情に詳しい友人に誘われるまま、中国ネット事情を調査するために行くということになりました。
それくらい、当初は中国に対してさほどの関心はなかったわけですが、これが上海に着くや否や、「とんでもないことだぞ」と気づいたようなわけです。
ここ数年の中国都市部を目の当たりにした方なら誰でもわかると思いますが、とにかく中国の勢いは「すごい」の一言です。特に高層ビルが立ち並ぶ上海の発展ぶりには目を疑うばかりです。これまで多くの日本人が思っていた「自転車に乗った人の波」に代表される中国のイメージはどこへやら。これまで日本人がイメージしていた中国よりも遥かに進歩していることに気づかされます。「日本は負けたかも」と感じなくもありません。
また中国人の生活の様子を見ていて携帯、パソコン、自動車などに海外製品が想像以上に多いことに驚かされましたが、更に驚かされるのは海外製品の中で日本ブランドの品が驚くほど少ないことです。ちょっとショックなくらい他国の製品が使われています。
日本に旅行でやってきた中国人は必ずと言って良いほど日本の家電・食品・ファッション用品をたくさん購入して帰ります。ですから、日本製品に人気があるということは間違いないのですが、いざ中国国内での流通となると、我々が思っているほど多く出回っているわけではないようです。アイデア・技術・美的センスの結晶とも言える日本製品が中国という大きな市場で、実はそれほど幅を利かせていないというのは、日本人の一人として非常に残念な思いがしました。だから、何とかして日本製品の良さをもっと中国の人たちに知ってもらいたい。中国市場を日本製品で埋め尽くしたい。そんな思いが強くなり、中国に事務所の設立を考えるようになりました。
中国のインターネット事情を知りたく思い、現地調査をしていく上で中国には中国特有のネット事情が多く、いくつかの特徴があることがわかりました。
●ネット普及率30%程度でネットユーザーの数が世界1位
●ホームページの公開は政府の許可制
●YOUTUBE,TWITTAER,USTREAMのどれもが見えない、使えない。
●ネット商習慣が日本と全然ちがう。
●WEBに関する法整備が追いついていない(あいまいである)。
いささかマイナスの面があるのが気になるかもしれませんが、しかしそこを「中国オリジナル」と捉え、日本とはまったく違う中国市場に目を向けた確かな対策を講じれば、必ず新しいビジネスチャンスが見えてきます。何といっても13億人の巨大な市場です。富裕層が増えていることやキャッシュカードの利用が拡大するに伴いショッピングが加速していること、また中国人の購買欲が非常に旺盛であることを考えてみてください。的確な販促活動を行えば、間違いなくその効果は絶大になる可能性があります。
今後世界のビジネスの中心的役割を担うであろう中国市場において、ネットorリアルの関係なく販売促進のノウハウを確立し、それを提供していくことで大きく躍進する日本企業が増えるのではないでしょうか。
しかし、残念ながら、日本の企業(特に中小企業)は中国市場で売れる製品をお持ちでいながら、どうやって販売すればよいのか分かってらっしゃらないようにお見受けします。
そこで、私たちは現地法人を設立し、中国で新たなビジネスチャンスをお探しの企業様をサポートすることに決めたのです。アジア全体とその中で代表格の中国市場が重要になってくる。そんな時代の到来を大きなビジネスチャンスと考えて、力になれる現地法人を設立することになりました。
中国でWEB事業を始めるにつき、我々は中国東北部吉林省にある長春市に拠点を置きました。長春はかつて旧満州の首都で「新京」と呼ばれた都市。東北部ですから日本よりも気候は厳しいものがありますが、防寒対策さえしっかりしていれば穏やかな風土で過ごしやすい街です。
現在では大幅な自主権が与えられる「副省級市(二級行政区)」ではありますが、大きな将来性を秘めた都市です。とりわけ注目すべきは大学をはじめ学究施設が多いことで、各分野に優秀な人材がいます。IT系にも優秀な人材が多く、地元東北部はもちろんですが、上海など大都市で活躍している人も多いと伺っています。我々が長春に拠点を置くことを決めた最大の理由もここにあって、まず優秀な人材・優良なパートナーを確保することでした。
その他、長春を拠点に選んだ理由として挙げられるのが、都会すぎていない・田舎すぎていないことです。日本の一地方企業が進出するにはまさに"うってつけ"の「副省級市(二級行政区)」らしい都市。内外の企業がせめぎ合う大都市と違い、競合会社が少ないことも二級都市だからこそあり得る利点です。中国全土を対象としなくてもエリアを絞ったビジネスに勝利の法則がある。そんな"ランチェスター経営"にも適した都市で様々なビジネス方法を試せるチャンスがあるのではないかと考えました。
更に、弊社は吉林省のベンチャー支援施設「吉林青年創業園」に外国企業として初の入居が認められ、吉林省からの支援を受けるなど、中国で効率的にビジネスを展開する上で長春は極めて良い環境にあります。
中国ネット事情を調査するために中国に入り、その後順調に進み4ヶ月で現地法人を設立しましたが、設立までにはちょっと日本では考えられない苦労(?)も経験しました。
役所に提出するた書類の作成では、雛形どおりに作成したにも関わらず何度も何度も訂正の指摘を受けました。また即日修正可能な些細な訂正でも「今日はダメ。後日あらためて来て」と言われるなど融通が利かないなど、日本ではあまりお目にかかったことのない対応を受けたこともありました。
しかし、何度も通ううちに顔と社名を覚えてもらえた。これが今では貴重な財産になっています。"顔が利く"というのはこのようなことを言うのでしょうか。この経験が弊社だけのことでなく、今後お客様のビジネスにも良い影響を及ぼせるようなになるのではないかと思っています。
日本企業に対する信頼は大きく、弊社のような小さな企業でも長春の方たちは歓待してくださいました。
長春では学究施設が多いことから指導者・研究者といった職種の人たちと顔を合わせることがしばしばあり、またそこから政府関係者、地元企業経営者、そのご家族に至るまでコミュニケーションの輪が広がっていきます。現地での様々な人との交流からビジネスの話に発展することも多く、現地企業からいくつかご相談のお話を頂戴しましたし、現地在住の方々から有難いアドバイスも頂戴しました。スタッフ採用につきましても地元大学から数多くのご紹介を頂いています。
このように、人脈が広がっていくことで受けた恩恵は数多くあり、おかげで難しいと予想していた異国でのビジネスを円滑に進めることができました。中国ネットの事情調査のために現地入りし、現地法人設立までに要した期間は4ヶ月。思いもよらないスピードでした。
驚いたのは開業式で、仲間内の親睦会を催す予定がとんでもなく大きなイベントに発展してしまったことです。なぜか政府内に「開業式プロジェクト」なるものが発足し、まだ現地スタッフは3名しかいなかったのですが、開業式の参加人数は約100名。そのうち中国側の出席者は73名にも達していたのです。地元のテレビ局・ラジオ・新聞の関係者も多数参加し、大きく報道もされました。日本のIT企業が長春にやってきたということで盛大に歓迎していただき、以来親しくお付き合いをしています。何かの折に力を貸していただける心強いパートナーを得ることができました。
わたしたちにできることはたくさんあります。今やデジタルの時代ですからホームページの制作をはじめ、リスティング広告、SEO対策、集客プロモーション、ソフトウェア開発などWEBに関連する具体的なことはもちろんですが、その一方で人と会い、言葉を交わしてコミュニケーションの輪を広げるといったコミュニケーション力にも入れています。中国ほど"つながり"が有効な国はありません。話がスムーズに行くか行かないかは、この"つながり"が大きく左右すると言っても過言ではありません。ですから、わたしたちは "縁"を大切にし、直接お話することを重んじています。
また、わたしたちは先ず日本の中小零細企業の開拓者として、中国での現地法人設立・WEB市場への進出をはじめ、僭越ながらいくつか先鞭をつけることに成功しました。今後はその経験をフルに活かして、中国進出を計画されている日本企業をどんどんサポートしていきたいと考えています。
